帷子川流域ぶらぶら散歩 ①
鶴ヶ峰周辺・中流編

帷子川流域ぶらぶら散歩 ①鶴ヶ峰周辺・中流編
意外と自然がいっぱいの帷子川中流域で、川ガキたちと出会う。
滝澤恭平

帷子川ってどんな川?

横浜西口を流れている帷子川は、横浜市旭区若葉台付近を水源として、横浜港まで流れる全長17kmの河川です。横浜西口をゆったり流れる姿と、上流、中流の姿はだいぶ違っています。帷子川はどんなところから流れてくるのか?どんな姿をしているのか?実際に、帷子川を歩いて、川のいろいろな姿や周辺の街の様子を紹介していきたいと思います。

01

帷子川流域図 (出典:横浜市道路局)

アユが遡上する限界点

今回は、帷子川中流域の鶴ヶ峰周辺をウォーキングします。
相鉄線の鶴ヶ峰駅を降りて、北へ向かって3分ほど歩くと、帷子川に突き当たります。
川沿いにはマンションがあり、護岸には緑に覆われた遊歩道があり気持ちよさそうです。
結構川幅は広く、河床までも高さがあります。岩盤が露出しているのがワイルドな感じです。

DSCF5462

実はここまでアユが帷子川を上ってきています。川の中に、アユが超えるにはつらい段差があり、現在のところ、この地点がアユ遡上の上流限界点となっています。しかし、横浜市による「アユが遡上する帷子川アクションプラン」として、横浜市の川でアユを遡上させる市の取り組みが始まり、帷子川がモデルリバーに選ばれました。2016年度から、この段差を解消する魚道工事が始まる予定です。

DSCF5451

川を渡ると、鶴ヶ峰稲荷神社があります。8月のお祭りでは賑わう地元では有名は神社です。社殿の裏には鶴ヶ峰公園があるのですが、実は、この公園、「旧河道」といってかつての帷子川の経路跡地です。帷子川は、もともとはぐねぐねと曲がった流路を取っていたのですが、増水時に水が流れにくく洪水を起こしていたため、河川改修によって直線化されてきたという歴史があります。公園の端に残る曲線地形はその流路の痕跡というわけです。

DSCF5848

川ガキとたくさん出会った!

上流の方に歩いてみましょう。旭区区役所の前の厚木街道を渡ると、帷子川は本流と支流に二股に分かれています。支流はまさに二俣川といいます。写真の左側の本流の方は、ウォータースライダーのようになって水が流れてきています。勾配が急な水の流れを少しでも和らげるために、滑り台には石が取り付けられており、石に当たった水は、線香花火にような綺麗な曲線を描いて、細かく水流をつくって流れ落ちていきます。これには魚が遡上しやすくなる魚道の機能も兼ねているようです。

DSCF5713

ウォータースライダーを越えると、流れはゆったりとなり、護岸の高さも鶴ヶ峰稲荷神社周辺よりは低くなります。ところどころに、水面へ降りられる階段が付いています。親子連れが、網をもって魚を追いかけています。川の中には砂が堆積した浅瀬もあり、シマドジョウなどが捕れたそうです。中洲の草むらの中にカモの卵も見つけた、と子供が興奮して話していました。

DSCF5473DSCF5508

川の護岸にはところどころに、開口部があって、陸側のスロープにつながっています。このスロープもかつての旧流路で、現在は水が流れていませんが、降雨時は周辺の農地や住宅地から水が流れるようになっています。晴天時にも少し水が溜まっている場所があり、周辺敷地に浸透した地下水が常に湧いている場所もあるようです。

DSCF5511 DSCF5520

と、女の子が、自分の身長ぐらいのヘビを抱えて、にこにこしながらやってきました。「すごい大きいヘビだね」と声をかけると、
「うん、アオダイショウ!」
「怖くないの?」
「かわいい、飼いたい〜♡」
という感じですごく可愛がっている様子。いやあ、帷子川中流域の浜っ子たちは、ワイルドです。川を中心として自然が多い環境で育っているせいか、野生動物や生き物との関わりが深そうです。下流部の子供たちからするとある意味、羨ましい環境かもしれませんね。

DSCF5495

川沿いには、地元の小学生がつくったポスターがたくさん張られていました。「帷子川の自然を守る」「ゴミのポイ捨て禁止」「魚にはストレスがかかるよ」といった内容で、川や生き物に対する子どもたちの愛情を感じられます。

DSCF5544

「魚つき林」のような多自然リバー・スポット

しばらく歩いていると、とっても気持ちの良いスポットに出くわしました。川の横にある丘の樹林が、そのまま川に繋がって、草むらの自然な岸辺と一体化しているように見えます。水は透明度が高くとても綺麗で、川底にはさらさらとした砂が堆積しています。たくさんの生き物たちの気配がします。

DSCF5551

コンクリートの護岸は、あることにはあるのですが、ちょっと低くなっている場所であり、土砂が堆積して、水面から樹林まで連続した環境が形成されているようです。ここにも、旧河道からの出口がありました。川に隣接した丘の土砂が浸食され旧河道に溜まり、雨が強く降った時に押し流されて、このような地形が生み出されているものと思われます。「川は水だけでなく、土砂も流す」という当たり前のことが、目の前の風景の中でよく分かる場所です。このスポットで生き物を探してみると、いろいろな生き物がいることが分かるはずですが、ある意味、この裏山は、いろいろな生き物を生かす環境をつくる「魚つき林」のような存在であることが見えてきます。

DSCF5555DSCF5575

旧河道からの排出口と、旧河道に堆積した裏山の土砂に這える草むら。

裏山の周辺には畑があり、樹林に覆われた山、畑、草むらが茂る河原を自由に行き来できる子供たちは、いろいろな生き物や風景に出会っているはずで、こどもたちが川を愛するようになっているのも頷ける気がします。
DSCF5591

横浜駅から相鉄線快速でたった10分程の鶴ヶ峰駅付近に、こんなに自然が豊かな環境があるなんて、ちょっと驚きですね。
次回は、帷子川中流域に多く残っている旧河道を辿ってみることにしましょう。

Profile image
Profile image
滝澤恭平
編集者、水辺総研主任研究員、ミズベリング事務局ディレクター。まち歩き、水辺歩きが好き。雑誌「ソトコト」に自然と地域の魅力をテーマとした旅連載「ハビタ・ランドスケープ」を寄稿。